StarCityGamesより。
相手の初動をどう見るか。
初動アンシーポンダーを見て汗をかくのはエターナルならではですよね。
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Legacy Openings
CARSTEN KOTTER
2013/6/28
http://www.starcitygames.com/article/26423_Legacy-Openings.html
エターナルフォーマットにまつわる昔からのジョークがある:デッキ構築が序盤戦、マリガン判断が中盤戦、1ターン目が終盤戦。
これは明らかに言い過ぎだけど、レガシーの最初の2ターンでは多くの重要なことが起こる。レガシーで「重要なことが起こる」というのはつまり、勝敗を分ける瞬間的な判断が数多くなされる、ということだ。
これらの判断の多くは状況次第で変化する、というのが特に難しいところだ。
ThoughtseizeとDeathrite ShamanとLiliana of the Veilが手札にあるところを想像してほしい。高速コンボデッキを相手にしている場合、1ターン目にはThoughtseizeを撃ちたいだろう。一方、死儀礼デッキを相手にしている場合、2ターン目にリリアナを出せるチャンスは少なくとも作っておきたくなるだろう。この場合は1ターン目に死儀礼を展開するスタートが正解となる。
この種のプレイを正しく行うためには対戦相手が何を使っているか知る必要がある。ラウンド1のうちに会場全体を偵察できないとしても、相手の1ターン目の行動からデッキチョイスや手札のカードの情報を集める方法があるんだ。
今日お見せしたいのは、いろいろな対戦相手の初動と、それを見たときの僕の思考過程だ。レガシーで重要な観察/推論スキルを高める役に立つんじゃないかな。
面白そうだろ?よし、それじゃあ始めよう。
古き良きIsland
あるトーナメントのラウンド1、シャッフルが終わり、対戦相手は少し考えて7枚でキープ。彼は次のようにゲームを始めた:
島をプレイして定業をキャスト。2枚ともボトムへ。エンド。
これは何を意味しているだろう?
答えは浮かんだかな?オーケー、僕はこんなことを思い浮かべたよ:
はじめに目に付くのは土地セットだ:手札から島を出してきた。
安定してこの動きができるデッキを考えただけでも数はかなり絞られる――例えばANTはせいぜい1,2枚しか島を入れていない。初手に島が来そうなデッキの候補として最もありそうなのは、マーフォーク、青白奇跡、Omni-Tell、ハイタイドだ。
ここで相手がキャストしたスペルを見てみよう:定業だ。
レガシーで定業が入るデッキはごくわずか。普通、より優れたPonderとBrainstormで枠は埋まってしまい、さらに定業を入れるというのは簡単にはできない選択だ。そんな選択をするデッキは、ハイタイド、Omni-Tell、ANT、そしてときどきスニークショーぐらいのもの。
ここまでに見たプレイからたくさんの情報が得られ、上で述べた考えを組み合わせると相手はおそらくハイタイドかOmni-Tellだと思われる。相手はコンボデッキを使っている可能性が高く、しかも3ターン目より前に勝ちにくる可能性は小さいということが既に分かった。ハイタイドはCloud of Faeriesを入れる構築をしない限り土地2枚で勝つことはふつう不可能で、Omni-Tellが2ターン目に勝つのに必要なCity of Traitorsはデッキに3枚しか入らない。
こちらがこれからどう妨害していくかを判断する上でこの考察が役に立つ。おそらくこちらには次のターンを待つ猶予があり、(例えばデルバーや死儀礼で)盤面を構築したり、どのカードを掘り当てる必要があるか考える堅実な1ターン目をプレイしても良さそうだ。(こちらが先攻なら)たぶんクァーサルよりもサリアを出すべきで、この状況ではマザーよりも教主の方が優れた1マナアクションだということも分かる。
さらに、相手の手札には重要なカード――土地か、あるいはコンボパーツのどれか――が欠けているだろうということも言える。定業で2枚ともボトムに送っているからだ。もう一つの可能性としては、彼は既に完璧な手札を持っているのかもしれない。
送られたカードは単に余った土地やコンボパーツだったかもしれず、これは決して安全な推論ではない。だけど、一般にそれなりの手札を持っている場合は定業でなにかしら使えるものが見つかり、それをトップに残すことが多い。2枚ともボトムに送るのは、手札があまりにも良くて加えるべきカードがほとんどないときか、ある特定のカードだけが必要でその他をできるだけライブラリの奥深くに押し込めたいときだ。
今回、相手はキープする前にしばらく考えた。
一つ目に、これはしばしば相手がコンボデッキを使っているサインになる。手札に欠けているものと、すぐに仕掛けられる可能性がどの程度あるかを考える必要があり、ハイタイドやOmni-Tellはマリガン判断で熟考することが最も多い部類のデッキだ。
二つ目に、相手の手札にはやはり足りないものがあり、定業を撃っても見つからなかった可能性が高い。手札が完璧ならキープするのに考える必要はないだろう。
最後に、相手は追加のキャントリップをたくさん持ってはいないだろう。ハイタイドもOmni-Tellも、島とキャントリップ3枚という手札はほとんどの場合キープだ。こういう手札でもやはりマリガンで考え込むことはないだろう。
大きな悪いUnderground Sea
Scalding Tarnを出してUnderground Seaをフェッチ、ブレストをキャスト。
これはどう思う?
今回も土地から考えてみよう。Scalding Tarnはいろいろなデッキで使われているが、Underground Seaはやっぱり今回もコンボデッキが相手だということを示している可能性が高い。なぜだろう?
コンボ以外でUnderground Seaを入れているのはおそらく死儀礼デッキだが、このデッキはふつうBayouにアクセスするため、ほぼ常にScalding TarnよりもMisty Rainforestが優先されるためだ。
土地を出した後の1ターン目ブレストもこの考えを補強する――Underground Seaを使うフェアなデッキが1ターン目のメインフェイズにブレストを撃つ理由はほとんどない。
目にした土地に基づいて単純に考えただけでも、対戦相手はUnderground Seaを使うコンボデッキ、ANTかTESかGoryo’s Vengeance型リアニか昔ながらのリアニのどれかだと僕には思える。
見たのは土地だけじゃないので考えを続けよう。
まず、昔ながらのリアニにとって1ターン目メインのブレストが良いプレイになるケースはほとんどない。このデッキでブレストの後にマナを生み出せるカードはよくて4枚のLotus Petalだけだ。そしてそのうち2枚を手に入れないとブレストの後に意味のあるプレイをすることはできない――ふつうは割に合わない賭けになる。というわけで、相手のデッキは残り3つのどれかだろう。
相手がどれを使っているか完全に明らかにできるだけの情報はないけれど、非常にアグレッシブなコンボデッキだと考えて間違いなく、さらにここで彼の手札の質についてもかなりのことが分かるんだ!
1ターン目メインのブレストは、非常に強い手札の場合にのみ意味を持つ――つまり、即座に勝つのに必要なパーツが残り1枚だけ、という手札だ。相手はその1枚をブレストで見つけられなかった――見つかればこちらは死んでいる――しかし、いったんアンタップして2枚目の土地を置けば仕掛けてくる可能性はかなり高い。
いま考えたことを組み合わせると、最初のフェッチでUnderground Seaを持ってきたアクションから追加で分かることがある。相手はおそらく仕掛けるためにアンシーからの黒マナが必要だ。そうでないなら島を持ってくる方がよほど安全なプレイになる。こういうプレイをし得るのはANTかGoryo型リアニだけだ。どちらのデッキも多くの土地を並べることはできない。土地のかたまった手札から1,2ターン目に勝てることは滅多になく、その場合は1ターン目メインのブレストはひどいプレイになる。
最後に、こちらがまだ死んでいないということは、相手は土地1枚だけではおそらく勝てないということだ。もしこちらにWastelandがあるならたぶんここで切った方が良いね。
初動の黒
Polluted DeltaからBayouをフェッチ、Thoughtseizeをプレイ。
さて、またもやフェッチからのデュアル、そして1ターン目のスペルという動きだ。
BayouからThoughtseizeという時点で死儀礼デッキの一種である可能性が最も高いだろう。ジャンドかShardless BUGかEsper Deathbladeか、あるいはBUGデルバーか。追加の情報であるPolluted Deltaからは、相手はおそらくジャンドではなく青系のどれかだろうと考えられる。
Esper Deathbladeはこれらの中では最も確率が低い。このデッキが1ターン目にBayouをフェッチする理由は滅多にないためだ。同様にBUGデルバーも青マナを欲しがる(Dazeのためにも島が要る)ので、1ターン目にBayouを持ってくるのはとてもリスキーだ。というわけで、今のところ相手はShardless BUGだろうと僕は考える。
もちろんThoughtseizeの解決によって相手の手札とゲームプランについてより多くの情報を得られるが、今日はこちらが使うデッキについては無視している。この点についてはこの記事の範囲外とさせてほしい。
しかしそれでも、僕らは相手の手札についてもう少し考えられることがある。まず、相手はほぼ間違いなく少なくとも1枚、おそらく2枚の追加のマナソースを持っており、そのどちらも青マナにアクセスできるはずだ。BUGデルバーとShardless BUGはかなり青寄りのデッキで、青マナを確保できていないときはそれを確実に手に入れることに集中するだろう。
さらに、相手の手札にはDelver of Secrets(Shardless BUGという読みからは少し外れるけど)もAncestral Visionもないだろうと思われる――こちらが高速コンボだと相手が考えていなければ。これらを1ターン目にプレイする価値は1ターン目Thoughtseizeよりもかなり高いことが多いためだ。同じ理由で、相手は死儀礼と強力な2マナカードを同時には持っていないだろう。1ターン目死儀礼からの2ターン目ハンデス+2マナスペルという動きは強く、ハンデスを1ターン遅らせてでもやってくるはずだ。
嗚呼、5色土地
Gemstone Mineを出してエンド。
うん、これはすごく単純で、だけど多くを語っているね。Gemstone Mineが入るデッキはわずかしかない――ドレッジ、TES、あとはAdam Prosak型のANT――この初動からは相手がアンフェア志向だということがかなり明白だ。
ドレッジで5色土地はあるがディスカード手段のない手札をキープするのは本当にまずいプレイヤーだけ(それか後手でドローディスカードするプランの場合)なのでドレッジの可能性は無視して、高速テンドリルデッキのどちらかだと考えよう。ANTがGemstone Mineを引くことは少なく、さらにキャントリップもなしでGemstone Mineからスタートしなきゃならない手札をキープする可能性も低いので、TESの確率の方が高いだろう。
とはいえ、ここで一番面白いのは相手の1ターン目のアクション――あるいはアクションがないこと――からいかに多くを知ることができるかという点だ。彼が高速ストームを使っていることが分かったとして、1ターン目に動きがないのはかなり意外だ。ストームデッキの序盤はふつう、少なくともキャントリップかハンデスを1ターン目に撃つことに注力する。
2つの可能性が考えられる:相手がBrainstormを持っておりこちらのエンドにキャストするのを待っているか、あるいはマナ加速が少し足りないものの非常に良い手札を持っており、仕掛けるのに2枚目の土地が必要か。
2枚目の土地が必要だとすると、手札にある追加の土地もおそらくGemstone Mineということになるだろう――より良い土地が使えるのに、わざわざ目減りする土地を先に出す必要はない。
相手の手札に欠けているものが一つあるとすると、マナ不足しかないだろう。ライブラリを掘るキャントリップがなく、コンボパーツも揃っていない手札をキープするのはふつうかなりマズイ。チューターか直接パーツとなるスペルを探すのに十分なカードを見られなくなる。
僕には、相手は動き始めるのにちょうど1マナ足りないのだろうと思われる。何かのマナ――土地も含めて――を引かれればおそらくゲームは終わる。
最後に、相手がブレストを持っている場合、こちらのエンドステップにそれを撃ってくるだろう。「Gemstone Mineを出してエンド」という1ターン目のプレイを正当化するためには、たとえブレストがあってもかなり完成形に近い状態の手札が必要だからだ。2ターン目を待ってブレストしたいならフェッチランドを持っているはずだけど、この場合は不毛をケアして1ターン目にGemstone Mineではなくフェッチランドをプレイするだろう――やっぱりこの可能性は考えにくい。
エンドステップにブレストがきた場合、相手が使っているのはTESで、仕掛けるには赤マナと黒マナの両方が必要だ。
理由?Gemstone Mineゴーを正当化できるほど勝利に近い手札を持っているなら、ふつうは自分のターンのうちにブレストを撃ちたくなるだろう。そこでパーツを見つければ即座に勝てる。しかし、仕掛けるのに異なる2色が必要な場合は1ターン目ブレストから即座に勝つのはほぼ不可能だ。この場合はブレストを待ち、2枚目の土地を出すまでの間のハンデスをケアするのに使うべきか見極めようとするだろう。
マングース目撃
Polluted DeltaからTropical IslandをフェッチしてNimble Mongooseをプレイ。
この動きで一番多くを語っているのはもちろんNimble Mongooseだ。マングースを入れるのはStifle / Wasteland / Dazeを使うテンポデッキだけで、真っ先に挙がるのはRUGデルバーあるいはドイツのBURGデッキ、そして最近ではかなりレアだけど昔ながらのBUGデルバー(赤の火力の代わりにボブを入れたRUG)かもしれない。
Polluted Deltaによって、おそらく相手はBURGデッキではないことが分かる――このデッキはマナベースを安定させるためにTaigaを入れる必要があり、Polluted DeltaはTaigaを持ってくることができない。BURGを除くとこの初動からは相手のデッキチョイスについてこれ以上は分からないが、RUGは他のテンポデッキと比べてかなり多く使われていることから、ここでは僕はRUGを相手にしていると信じるだろう。
マングースからはまだ読み取れることがある。通常、Nimble Mongooseはテンポデッキの1ターン目のプレイとしては最弱だ。Delverの方が大きなダメージを見込め、間違いなくできれば最初にプレイしたいはずだ。同様に、マングースが序盤に与えるダメージは小さく、1ターン目のプレイとしては相手がフェッチを使う場合に備えてStifleを構える方がマングースを出すよりもかなり良い。
Lightning BoltとSpell Pierceの組み合わせを構えることでさえ――後でマングースを出すための緑マナが確保できるなら――あるいは単なるPonderでさえ多くの状況でより良い1ターン目のアクションだ(特にPonderは土地1枚でキープした場合)。
結果として、相手はStifleやDelverを今のところ持っておらず、おそらく土地はもう1枚持っていると僕は考える。土地があるというのは、相手の手札になさそうなカードが多いためだ。Dazeケアには特に注意を払うだろう――相手のここまでの動きにはDazeによるバックアップがぴったりハマる。
前へ、目的地へ
ここまで見てきたように、対戦相手の1ターン目のカード数枚を見ただけで驚くべき量の情報が集められる。このようにして結論を引き出す力はレガシーで非常に重要なスキルだ。はじめに書いたようにレガシーは速く、居並ぶデッキ達はミスプレイを許さず初動を信じられないほど厳しく咎めてくる。
みんなが対戦相手の初動を読むとき、今日の記事が役に立てれば嬉しいよ。上に書いた考察の多くで相手がマリガンしていないことがけっこう重要だってことには気をつけてほしい。手札のカードが少なくなるほどプレイヤーは最適でない動きをせざるを得なくなってくる――最適でない動きを読むのはとても難しい。
対戦相手が自らのデッキを熟知している前提だってことにも気をつけてくれ。もう一度言うけど、最適でない動きは意味不明だから読むのはとても難しいんだ。
あらゆるレガシーの試合で見ることになる最序盤のアクションに注目してみたこの記事を楽しんでもらえたら幸いだ。あなたがどう考えたか、僕の考えと違うところはどこか、コメントで教えてほしい。
じゃあまた次回。細部に気を配ろう!
Carsten Kotter
相手の初動をどう見るか。
初動アンシーポンダーを見て汗をかくのはエターナルならではですよね。
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Legacy Openings
CARSTEN KOTTER
2013/6/28
http://www.starcitygames.com/article/26423_Legacy-Openings.html
エターナルフォーマットにまつわる昔からのジョークがある:デッキ構築が序盤戦、マリガン判断が中盤戦、1ターン目が終盤戦。
これは明らかに言い過ぎだけど、レガシーの最初の2ターンでは多くの重要なことが起こる。レガシーで「重要なことが起こる」というのはつまり、勝敗を分ける瞬間的な判断が数多くなされる、ということだ。
これらの判断の多くは状況次第で変化する、というのが特に難しいところだ。
ThoughtseizeとDeathrite ShamanとLiliana of the Veilが手札にあるところを想像してほしい。高速コンボデッキを相手にしている場合、1ターン目にはThoughtseizeを撃ちたいだろう。一方、死儀礼デッキを相手にしている場合、2ターン目にリリアナを出せるチャンスは少なくとも作っておきたくなるだろう。この場合は1ターン目に死儀礼を展開するスタートが正解となる。
この種のプレイを正しく行うためには対戦相手が何を使っているか知る必要がある。ラウンド1のうちに会場全体を偵察できないとしても、相手の1ターン目の行動からデッキチョイスや手札のカードの情報を集める方法があるんだ。
今日お見せしたいのは、いろいろな対戦相手の初動と、それを見たときの僕の思考過程だ。レガシーで重要な観察/推論スキルを高める役に立つんじゃないかな。
面白そうだろ?よし、それじゃあ始めよう。
古き良きIsland
あるトーナメントのラウンド1、シャッフルが終わり、対戦相手は少し考えて7枚でキープ。彼は次のようにゲームを始めた:
島をプレイして定業をキャスト。2枚ともボトムへ。エンド。
これは何を意味しているだろう?
答えは浮かんだかな?オーケー、僕はこんなことを思い浮かべたよ:
はじめに目に付くのは土地セットだ:手札から島を出してきた。
安定してこの動きができるデッキを考えただけでも数はかなり絞られる――例えばANTはせいぜい1,2枚しか島を入れていない。初手に島が来そうなデッキの候補として最もありそうなのは、マーフォーク、青白奇跡、Omni-Tell、ハイタイドだ。
ここで相手がキャストしたスペルを見てみよう:定業だ。
レガシーで定業が入るデッキはごくわずか。普通、より優れたPonderとBrainstormで枠は埋まってしまい、さらに定業を入れるというのは簡単にはできない選択だ。そんな選択をするデッキは、ハイタイド、Omni-Tell、ANT、そしてときどきスニークショーぐらいのもの。
ここまでに見たプレイからたくさんの情報が得られ、上で述べた考えを組み合わせると相手はおそらくハイタイドかOmni-Tellだと思われる。相手はコンボデッキを使っている可能性が高く、しかも3ターン目より前に勝ちにくる可能性は小さいということが既に分かった。ハイタイドはCloud of Faeriesを入れる構築をしない限り土地2枚で勝つことはふつう不可能で、Omni-Tellが2ターン目に勝つのに必要なCity of Traitorsはデッキに3枚しか入らない。
こちらがこれからどう妨害していくかを判断する上でこの考察が役に立つ。おそらくこちらには次のターンを待つ猶予があり、(例えばデルバーや死儀礼で)盤面を構築したり、どのカードを掘り当てる必要があるか考える堅実な1ターン目をプレイしても良さそうだ。(こちらが先攻なら)たぶんクァーサルよりもサリアを出すべきで、この状況ではマザーよりも教主の方が優れた1マナアクションだということも分かる。
さらに、相手の手札には重要なカード――土地か、あるいはコンボパーツのどれか――が欠けているだろうということも言える。定業で2枚ともボトムに送っているからだ。もう一つの可能性としては、彼は既に完璧な手札を持っているのかもしれない。
送られたカードは単に余った土地やコンボパーツだったかもしれず、これは決して安全な推論ではない。だけど、一般にそれなりの手札を持っている場合は定業でなにかしら使えるものが見つかり、それをトップに残すことが多い。2枚ともボトムに送るのは、手札があまりにも良くて加えるべきカードがほとんどないときか、ある特定のカードだけが必要でその他をできるだけライブラリの奥深くに押し込めたいときだ。
今回、相手はキープする前にしばらく考えた。
一つ目に、これはしばしば相手がコンボデッキを使っているサインになる。手札に欠けているものと、すぐに仕掛けられる可能性がどの程度あるかを考える必要があり、ハイタイドやOmni-Tellはマリガン判断で熟考することが最も多い部類のデッキだ。
二つ目に、相手の手札にはやはり足りないものがあり、定業を撃っても見つからなかった可能性が高い。手札が完璧ならキープするのに考える必要はないだろう。
最後に、相手は追加のキャントリップをたくさん持ってはいないだろう。ハイタイドもOmni-Tellも、島とキャントリップ3枚という手札はほとんどの場合キープだ。こういう手札でもやはりマリガンで考え込むことはないだろう。
大きな悪いUnderground Sea
Scalding Tarnを出してUnderground Seaをフェッチ、ブレストをキャスト。
これはどう思う?
今回も土地から考えてみよう。Scalding Tarnはいろいろなデッキで使われているが、Underground Seaはやっぱり今回もコンボデッキが相手だということを示している可能性が高い。なぜだろう?
コンボ以外でUnderground Seaを入れているのはおそらく死儀礼デッキだが、このデッキはふつうBayouにアクセスするため、ほぼ常にScalding TarnよりもMisty Rainforestが優先されるためだ。
土地を出した後の1ターン目ブレストもこの考えを補強する――Underground Seaを使うフェアなデッキが1ターン目のメインフェイズにブレストを撃つ理由はほとんどない。
目にした土地に基づいて単純に考えただけでも、対戦相手はUnderground Seaを使うコンボデッキ、ANTかTESかGoryo’s Vengeance型リアニか昔ながらのリアニのどれかだと僕には思える。
見たのは土地だけじゃないので考えを続けよう。
まず、昔ながらのリアニにとって1ターン目メインのブレストが良いプレイになるケースはほとんどない。このデッキでブレストの後にマナを生み出せるカードはよくて4枚のLotus Petalだけだ。そしてそのうち2枚を手に入れないとブレストの後に意味のあるプレイをすることはできない――ふつうは割に合わない賭けになる。というわけで、相手のデッキは残り3つのどれかだろう。
相手がどれを使っているか完全に明らかにできるだけの情報はないけれど、非常にアグレッシブなコンボデッキだと考えて間違いなく、さらにここで彼の手札の質についてもかなりのことが分かるんだ!
1ターン目メインのブレストは、非常に強い手札の場合にのみ意味を持つ――つまり、即座に勝つのに必要なパーツが残り1枚だけ、という手札だ。相手はその1枚をブレストで見つけられなかった――見つかればこちらは死んでいる――しかし、いったんアンタップして2枚目の土地を置けば仕掛けてくる可能性はかなり高い。
いま考えたことを組み合わせると、最初のフェッチでUnderground Seaを持ってきたアクションから追加で分かることがある。相手はおそらく仕掛けるためにアンシーからの黒マナが必要だ。そうでないなら島を持ってくる方がよほど安全なプレイになる。こういうプレイをし得るのはANTかGoryo型リアニだけだ。どちらのデッキも多くの土地を並べることはできない。土地のかたまった手札から1,2ターン目に勝てることは滅多になく、その場合は1ターン目メインのブレストはひどいプレイになる。
最後に、こちらがまだ死んでいないということは、相手は土地1枚だけではおそらく勝てないということだ。もしこちらにWastelandがあるならたぶんここで切った方が良いね。
初動の黒
Polluted DeltaからBayouをフェッチ、Thoughtseizeをプレイ。
さて、またもやフェッチからのデュアル、そして1ターン目のスペルという動きだ。
BayouからThoughtseizeという時点で死儀礼デッキの一種である可能性が最も高いだろう。ジャンドかShardless BUGかEsper Deathbladeか、あるいはBUGデルバーか。追加の情報であるPolluted Deltaからは、相手はおそらくジャンドではなく青系のどれかだろうと考えられる。
Esper Deathbladeはこれらの中では最も確率が低い。このデッキが1ターン目にBayouをフェッチする理由は滅多にないためだ。同様にBUGデルバーも青マナを欲しがる(Dazeのためにも島が要る)ので、1ターン目にBayouを持ってくるのはとてもリスキーだ。というわけで、今のところ相手はShardless BUGだろうと僕は考える。
もちろんThoughtseizeの解決によって相手の手札とゲームプランについてより多くの情報を得られるが、今日はこちらが使うデッキについては無視している。この点についてはこの記事の範囲外とさせてほしい。
しかしそれでも、僕らは相手の手札についてもう少し考えられることがある。まず、相手はほぼ間違いなく少なくとも1枚、おそらく2枚の追加のマナソースを持っており、そのどちらも青マナにアクセスできるはずだ。BUGデルバーとShardless BUGはかなり青寄りのデッキで、青マナを確保できていないときはそれを確実に手に入れることに集中するだろう。
さらに、相手の手札にはDelver of Secrets(Shardless BUGという読みからは少し外れるけど)もAncestral Visionもないだろうと思われる――こちらが高速コンボだと相手が考えていなければ。これらを1ターン目にプレイする価値は1ターン目Thoughtseizeよりもかなり高いことが多いためだ。同じ理由で、相手は死儀礼と強力な2マナカードを同時には持っていないだろう。1ターン目死儀礼からの2ターン目ハンデス+2マナスペルという動きは強く、ハンデスを1ターン遅らせてでもやってくるはずだ。
嗚呼、5色土地
Gemstone Mineを出してエンド。
うん、これはすごく単純で、だけど多くを語っているね。Gemstone Mineが入るデッキはわずかしかない――ドレッジ、TES、あとはAdam Prosak型のANT――この初動からは相手がアンフェア志向だということがかなり明白だ。
ドレッジで5色土地はあるがディスカード手段のない手札をキープするのは本当にまずいプレイヤーだけ(それか後手でドローディスカードするプランの場合)なのでドレッジの可能性は無視して、高速テンドリルデッキのどちらかだと考えよう。ANTがGemstone Mineを引くことは少なく、さらにキャントリップもなしでGemstone Mineからスタートしなきゃならない手札をキープする可能性も低いので、TESの確率の方が高いだろう。
とはいえ、ここで一番面白いのは相手の1ターン目のアクション――あるいはアクションがないこと――からいかに多くを知ることができるかという点だ。彼が高速ストームを使っていることが分かったとして、1ターン目に動きがないのはかなり意外だ。ストームデッキの序盤はふつう、少なくともキャントリップかハンデスを1ターン目に撃つことに注力する。
2つの可能性が考えられる:相手がBrainstormを持っておりこちらのエンドにキャストするのを待っているか、あるいはマナ加速が少し足りないものの非常に良い手札を持っており、仕掛けるのに2枚目の土地が必要か。
2枚目の土地が必要だとすると、手札にある追加の土地もおそらくGemstone Mineということになるだろう――より良い土地が使えるのに、わざわざ目減りする土地を先に出す必要はない。
相手の手札に欠けているものが一つあるとすると、マナ不足しかないだろう。ライブラリを掘るキャントリップがなく、コンボパーツも揃っていない手札をキープするのはふつうかなりマズイ。チューターか直接パーツとなるスペルを探すのに十分なカードを見られなくなる。
僕には、相手は動き始めるのにちょうど1マナ足りないのだろうと思われる。何かのマナ――土地も含めて――を引かれればおそらくゲームは終わる。
最後に、相手がブレストを持っている場合、こちらのエンドステップにそれを撃ってくるだろう。「Gemstone Mineを出してエンド」という1ターン目のプレイを正当化するためには、たとえブレストがあってもかなり完成形に近い状態の手札が必要だからだ。2ターン目を待ってブレストしたいならフェッチランドを持っているはずだけど、この場合は不毛をケアして1ターン目にGemstone Mineではなくフェッチランドをプレイするだろう――やっぱりこの可能性は考えにくい。
エンドステップにブレストがきた場合、相手が使っているのはTESで、仕掛けるには赤マナと黒マナの両方が必要だ。
理由?Gemstone Mineゴーを正当化できるほど勝利に近い手札を持っているなら、ふつうは自分のターンのうちにブレストを撃ちたくなるだろう。そこでパーツを見つければ即座に勝てる。しかし、仕掛けるのに異なる2色が必要な場合は1ターン目ブレストから即座に勝つのはほぼ不可能だ。この場合はブレストを待ち、2枚目の土地を出すまでの間のハンデスをケアするのに使うべきか見極めようとするだろう。
マングース目撃
Polluted DeltaからTropical IslandをフェッチしてNimble Mongooseをプレイ。
この動きで一番多くを語っているのはもちろんNimble Mongooseだ。マングースを入れるのはStifle / Wasteland / Dazeを使うテンポデッキだけで、真っ先に挙がるのはRUGデルバーあるいはドイツのBURGデッキ、そして最近ではかなりレアだけど昔ながらのBUGデルバー(赤の火力の代わりにボブを入れたRUG)かもしれない。
Polluted Deltaによって、おそらく相手はBURGデッキではないことが分かる――このデッキはマナベースを安定させるためにTaigaを入れる必要があり、Polluted DeltaはTaigaを持ってくることができない。BURGを除くとこの初動からは相手のデッキチョイスについてこれ以上は分からないが、RUGは他のテンポデッキと比べてかなり多く使われていることから、ここでは僕はRUGを相手にしていると信じるだろう。
マングースからはまだ読み取れることがある。通常、Nimble Mongooseはテンポデッキの1ターン目のプレイとしては最弱だ。Delverの方が大きなダメージを見込め、間違いなくできれば最初にプレイしたいはずだ。同様に、マングースが序盤に与えるダメージは小さく、1ターン目のプレイとしては相手がフェッチを使う場合に備えてStifleを構える方がマングースを出すよりもかなり良い。
Lightning BoltとSpell Pierceの組み合わせを構えることでさえ――後でマングースを出すための緑マナが確保できるなら――あるいは単なるPonderでさえ多くの状況でより良い1ターン目のアクションだ(特にPonderは土地1枚でキープした場合)。
結果として、相手はStifleやDelverを今のところ持っておらず、おそらく土地はもう1枚持っていると僕は考える。土地があるというのは、相手の手札になさそうなカードが多いためだ。Dazeケアには特に注意を払うだろう――相手のここまでの動きにはDazeによるバックアップがぴったりハマる。
前へ、目的地へ
ここまで見てきたように、対戦相手の1ターン目のカード数枚を見ただけで驚くべき量の情報が集められる。このようにして結論を引き出す力はレガシーで非常に重要なスキルだ。はじめに書いたようにレガシーは速く、居並ぶデッキ達はミスプレイを許さず初動を信じられないほど厳しく咎めてくる。
みんなが対戦相手の初動を読むとき、今日の記事が役に立てれば嬉しいよ。上に書いた考察の多くで相手がマリガンしていないことがけっこう重要だってことには気をつけてほしい。手札のカードが少なくなるほどプレイヤーは最適でない動きをせざるを得なくなってくる――最適でない動きを読むのはとても難しい。
対戦相手が自らのデッキを熟知している前提だってことにも気をつけてくれ。もう一度言うけど、最適でない動きは意味不明だから読むのはとても難しいんだ。
あらゆるレガシーの試合で見ることになる最序盤のアクションに注目してみたこの記事を楽しんでもらえたら幸いだ。あなたがどう考えたか、僕の考えと違うところはどこか、コメントで教えてほしい。
じゃあまた次回。細部に気を配ろう!
Carsten Kotter
コメント
対戦の際、上の記事の内容のことを考えられていれば、クロックをだすか・カウンターを構えるためにドロソをキャストするか(こちらの使用デッキはrugでした。)の正しい選択ができていたかもしれません。
今回の記事の内容は、今まで自分が曖昧に認識していた部分でしたので、非常に勉強になりました。誠に勝手ながらリンクさせていただきます。
ありがとうございます!
以前のストームデッキの思考過程の記事といい、熱いですよね。
> kaziさん
実戦で同じようなことがあったんですね。1ターン目マナクリかハンデスか、クロックかピアスか、みたいな判断で失敗すると悔しいですよね。
参考になったようで訳してよかったです。
リンクありがとうございます。こちらからもさせていただきますね。
これを機会にリンクしたのでよろしくお願いしますm(_ _)m
ありがとうございます!
こちらもリンクさせていただきました。よろしくお願いします。