TCGplayerより。
今のレガシーについて。
世はまさに群雄割拠の戦国時代。
そんなレガシーが好きです。
-----
An Unpredictable Legacy
Colin Chilbert
7/26/2012 10:23:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=10605
やあみんな!いろいろドタバタしてたせいでしばらくぶりだね。でもまたレガシーの話をしに大工仕事から戻ってこれて嬉しいよ。
この二ヶ月、2つのグランプリのおかげでレガシーにはたくさんの重大なことが起こっている。そして、その結果このフォーマットがどんな形になるのか見届けるのはとても面白いよ。なにしろ正直言って「まったく手がかりがない」から、これは特に興味深いね。
オーケー。そう、たぶんこの言い方は正しくない。
実際はレガシーのメタゲームは極めて予測が難しいってだけの話だ。特に今はね。
レガシーのような広大なカードプールがあると、フォーマットにあり得るデッキの数というのは青天井だ。まずこのことが、メタを予測し、読み、理解する妨げになる。そのうえいつも、カナスレやマーベリックのようなトップに位置するデッキを選ぶ人の数は少なく、次に一握りのかなり良いTier 2デッキたちが続き、その次には他のありとあらゆるデッキが続く(ふつうこれは、見たこともないローグたちにより生じるランダム性、などと言われる)。
これは単に全体を動かしているシステムに過ぎず、僕らはこのシステムの中でメタと、Tierがどのように構成されるかを考えることができる。
もちろん、まったく思いもつかないローグデッキにあたって0-2することまで想像したりはしないけど、レガシーではデッキの種類が広くバラついていて、メタを把握して予測するときにこのバラつきを考慮しなきゃいけないのはたしかだ。
それでもこのバラつきを超えた向こう側、トップグループのデッキに絞りこめば考えるのは比較的簡単になる。
しかし今のレガシーではこのシステムに問題がある。Tierの上の方が曇り、混乱していて見通せないんだ。
結局、メタを考えるのは簡単じゃなさそうだね。
ポイントはTier 2にある。Tier 2は力のある無数のデッキたちが身を乗り出し、スポットライトを浴びるのを待っている回転ドアみたいだ。いまTier 2にいるデッキの数はすごく多くて、正確にメタを予測したり、あるイベント向けに完璧に対策したデッキを用意するのはほとんど不可能に近い。
これが理由で、最近のいくつかのレガシーイベント(GPアトランタ、SCGセントルイス、GPヘント、SCGラスベガス)はそれぞれまったく異なるものになり、このフォーマットはほぼなんでもありのようになっている。戦えるデッキが豊富にあるモダンのメタゲームみたいな気がするね。
これは悪いことじゃないし、それどころか素晴らしいことで、レガシーのようなフォーマットにとってかつてなかった領域だ。レガシーが創設されて以来、こんなにオープンな状況は見たことがないよ!
歴史的に、どの時期を見ても3つか4つの頭ひとつ抜けたデッキがあった。でも今は、数十個のデッキのうち一つを選び、トーナメントで活躍することができると思う。
上で挙げた4つのトーナメントのトップ8を見てみよう:
GPアトランタ:
2 Canadian Threshold
Esper Stone-Blade
UW Delver Stone-Blade
Maverick
Goblins
Belcher
Zombies
SCGセントルイス:
Esper Stone-Blade
Belcher
Merfolk
BUG/Team America (no Delvers)
BW Stone-Blade
Elves
TES
UW Miracles
GPヘント:
ANT
Elves
Show and Tell
Esper Stone-Blade
Maverick
Junk
UW Miracles
UW Landstill Miracles
SCGラスベガス:
2 Esper Stone-Blade
2 Dredge
Goblins
Canadian Threshold
Belcher
Maverick
(石鍛冶デッキのバリエーションを分けるかまとめるかといった)アーキタイプ定義の曖昧さがなければ、それぞれのトーナメントのトップ8には少なくとも6種類(!)のデッキがあり、全体では16~18というとんでもない数になる。
18!これは尋常じゃない数字だよ!なによりめちゃくちゃなのは、この数字がレガシーで戦えるデッキ全体を表しているわけじゃないことだ。なかでもリアニ、スニーク、青赤デルバーがトップ8に入っていないのは目立つね。
これはTierの上の方に浮上しているデッキの多さを証明しているし、この環境で考えられるあらゆる角度からの攻撃に現実的に対処するのがいかに難しいかを示している。
1つのトーナメントのトップ8に6種類のデッキが入ることはないわけじゃないけど、4つの連続したトーナメントでそれが起きるというのは驚くべきことだ。
たしかに、どれかのデッキが頭角をあらわして成功を続けたり、何か別の変化があったりするのが常で、今のような状態は長く続くものじゃない。それでも今のレガシーの状況は、このフォーマットの行く先について、僕らにいくつかの結論と問いを与えてくれる。
グリセル様?むしろグリセル坊やだ!
GPアトランタの話をすると、リアニとスニークはどちらも崇拝されていたデッキで、明らかにレガシーの最有力候補だった。
どちらもグランプリの前に行われたトーナメントでは素晴らしい結果を残していたし、グリセルの首めがけて熊手で突進する村人たちが大勢いた。幸い、彼らの嘆きは6月の禁止改訂に聞き入れられることはなく、グリセルは大惨事を起こし続けることを許された。
かと思いきや、成功と人気によりグリセルは吊るし上げられ、対策が彼を地上に引きずり下ろし、上に挙げた4つのトップ8にはたった1枚も入ることはなかった。
GPアトランタのトップ8のすぐ下に複数のリアニがいるように、グリセルデッキは完全に力を失ったわけじゃない。だけどこのことは、メタへのシンプルな適応によってグリセルデッキがトップ8から押し出されたことをはっきり示している。素晴らしい!レガシープレイヤーたちは適応能力を持ってるんだ!
それでもやっぱり次の禁止改訂ではあの嘆きを思い出すのかな?このデッキを抑えるにはちょっとしたメタへの適応で十分だ。熊手は納屋にしまっておいて、時期尚早な禁止暴動は最小限にとどめよう。
とはいえ、リアニとスニークが本来持っている力を疑うのはよそう。どちらのデッキも本当に強く、環境に溢れた対策がこれらのデッキをシングルエリミから押し出し、Tier 1から押し出しているだけだ。
さっきも言ったようにレガシーのTier 2はデッキの回転ドアで、ニッチな競争相手だったデッキがベストデッキの座に飛び上がるのは時間の問題なんだ。対策が下火になればリアニやスニークは簡単にトップに返り咲くよ。
部族の復活
Cavern of Soulsがスポイルされたとき、これで部族が勢いづくだろうと思った。はじめは徐々にだったけど、今や部族デッキは完全にレガシーで独り立ちし、復活したように見える。
Cavern of Souls以前、部族デッキには何か足りないように見えたし、基本的にはまぐれでトップ8に名を連ねるだけだった。洞窟という輝かしい増援のおかげで部族は最悪のマッチアップの一つをひっくり返し、近頃では一大勢力だ。
エルフ、ゴブリン、そして(もう一つの新たな玩具、Master of the Pearl Tridentを得た)マーフォークはどれもレガシーで理に適った戦略で、今のオープンな状況が続く限り、少なくとももうしばらくは存在し続けるだろうね。
レガシーに明確なTierの構造はあるのか?(そして果たしてそれは必要か?)
この二ヶ月間、カナスレ、マーベリック、リアニ、そしてエスパー石鍛冶は、「その他大勢」を裏返したものを僕らがTier 1だと考えていることを教えてくれた。
だけど最近の結果を見たとき、Tier 1とTier 2を成功の度合いによってはっきりと分けることができるかな?こう考えてみよう:
上に挙げたTier 1デッキはトップ8スロットの10/32=31%を占めている。
同様に、Tier 2デッキはトップ8スロットの69%を占めている。
これを見ると疑問が出てくる。Tier 1と2を分ける点というのはあるんだろうか?
例えばベルチャーは4つのトーナメントでトップ8に3回入っていて、これはマーベリックの回数と同じで、カナスレより1回少ないだけだ。これはベルチャーがTier 1だということを意味しているのかな?もしあなたがレガシー好きの集団に聞き取り調査をしたとしたら、答えはたぶんノーだろう。
だけどこれは何かヘンだ。ベルチャーは青いデッキの海の中で複数回のトップ8入りを誇る、力のあるデッキなのは間違いない。どうして僕らは、同じぐらいトーナメントを勝つ力を示したデッキを別々の分類に分けてしまうのだろう?
正直言うと、僕は現時点では特に違いはないんじゃないかと思ってる。トップ8入りしている各デッキはどれもトーナメントでしっかり活躍できて、カナスレやエルフ、ベルチャー、テンドリル等のようなデッキの間に大きなギャップはない。
もちろんメタのシフトによっていくつかのデッキはつらくなるかもしれないけど、レガシーは愉快なフォーマットだ。今週強かったデッキがあっさりと次の週に勝てなくなり、ただドアが回転するだけで、二ヶ月もすればTier 1デッキになったりする。これは、デッキが決して絶滅しないレガシーの、あるいはエターナル一般の本来の姿だ。
ポイントは、あらゆる意味で僕らはTier 1と2をミキサーに投げ入れて、そのぐちゃぐちゃなものをトーナメントに持っていった方が良さそうってことだ。それが素晴らしいチョイスになる可能性は高い。
予測不能なメタを予測する(もしくは、しない)
4つのトップ8にはあらゆるアーキタイプが(プリズンはさすがにひどいので除いて)何らかの形で含まれていて、つまりどんなアーキタイプにもチャンスがあるってことだ。アグロ、コントロール、コンボ、これら2つの組み合わせ、本当にそのどれでもいい。これはもうグーチョキパーのじゃんけん関係をとっくに超えて、グーチョキパーとかげスポックじゃんけんすら超えてる!
レガシーはこれらアーキタイプが均衡する未知の状態に達していて、メタの移り変わりや、メタそれ自体すら捉えるのがものすごく難しい。
メタゲームは本当に数十ものデッキの手に委ねられているのだろうか?可能性のあるデッキを一つ一つ全てリストアップすればメタを量れるのだろうか?もしそうした場合、それはもはやメタと呼べるんだろうか、あるいはただのレガシーデッキの集まりなんだろうか?
言いたいのは、このように色々なデッキがバランスしている中で、合理的な予想のもとに自信を持ってトーナメントを渡り歩くことはできないってことなんだ。青いデッキと当たることを想像しながら、一日中マーベリックや部族、コンボと立て続けに6回戦やるかもしれないし、その逆もあり得る。
今はピンポイントに対策を立てることはできないし、ひいては現実のメタゲームや次のトレンドの移り変わりをピンポイントに予想することなんてできやしない。力を持っている特定のデッキやアーキタイプを倒そうとギアを入れたとしても、その相手に当たる保証はなくて、そういう努力をするのは疑問だね。
白眉のデッキを選んで、何に出会うか予想しながらトーナメントを歩いていけるスタンダードとは違い、レガシーイベントはかなり当てずっぽうでやることになる。毎ラウンド何に当たるか分からない。
だけどそれにもかかわらず、僕は傾向が見られるだろうと思ってる。少し時間はかかるかもしれないけど、密集した数十のデッキたちの中で何かが変化するだろう。これは大胆な予想かもしれないけれど、それでも予想がここにある:
1. 以上のような背景のもと、今のメタではより素直なデッキ構築が行われるはずだ。たくさんのデッキが息をしている状況ではあらゆる相手を倒せるようなデッキを作りたくなる。そうすると、対策カードは特定の相手にキツく刺さるものよりも、多くの状況で役に立つものが好まれるだろう。
2. 尖った対策カードが減って丸いものになると、コンボデッキが成功するチャンスが増す。コンボデッキ自体ではなく部屋にいる相手みんなを倒すことに力を注ぐと、コンボがうまいことやる道が舗装されることになる。
3. コンボデッキが強くなると、フェアなゲームをするデッキは弱くなる。このことは部族戦略を減少させ、マーベリックはぎりぎりだけど残るだろう。
4. コンボデッキが強くなると、青いデッキが強くなる。そして新たなサイクルが生まれる。
メタのシフトのショートバージョンはこうなる:
今のメタ→丸いデッキ構築→コンボが脅威となる→真面目な青いデッキがトップに戻る
さっきも言ったようにこれは単なる予想にすぎないけれど、メタの裏をかいて先頭に立とうとするプレイヤーたちがいる限り、デッキ構築には傾向が見られるだろうね。
最終結論:予測不能なレガシーは健全なレガシーだ
上で述べたように、レガシーはいろんなアーキタイプが均衡した状態になっている。このバランスがレガシーに多様性を持たせ、活気を与えている。そして多様性はレガシーが健全な印だ!
今ほど健全な期間はレガシーにはほとんどなくて、さっき言ったようにここまで健全なのを見たのは初めてだよ。
いつものように青いデッキたちはグッドだ。これからも何があっても良いだろうね。でも僕らには、マーベリックやエルフ、ゴブリンのように青いデッキと対等に戦えるフェアなデッキがたくさんある。
ANTがGPヘントで活躍したように今はコンボも存在感があり、ドレッジとベルチャーは安定してトップ8に居座り、ショーテルとリアニはいつも再び爆発するんじゃないかと不気味だ。
コントロールだって良いよ!青白奇跡はソリッドで、壊れたデッキたちに対抗することで他のフェアなデッキを自然と盛り立ててもいる。
レガシーの今のバランスは、楽しくて、エキサイティングで、挑戦しがいのあるフォーマットを提供してくれていて、素晴らしいものだと思う。
僕らはこれを楽しみ、オープンな状況を活用した方が良いだろうね。レガシーが「怒った大型犬 vs. 大型犬 vs. 足は悪いが心はタフな中型犬」の構図に戻ってしまう前に。
読んでくれてありがとう!
Colin
今のレガシーについて。
世はまさに群雄割拠の戦国時代。
そんなレガシーが好きです。
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An Unpredictable Legacy
Colin Chilbert
7/26/2012 10:23:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=10605
やあみんな!いろいろドタバタしてたせいでしばらくぶりだね。でもまたレガシーの話をしに大工仕事から戻ってこれて嬉しいよ。
この二ヶ月、2つのグランプリのおかげでレガシーにはたくさんの重大なことが起こっている。そして、その結果このフォーマットがどんな形になるのか見届けるのはとても面白いよ。なにしろ正直言って「まったく手がかりがない」から、これは特に興味深いね。
オーケー。そう、たぶんこの言い方は正しくない。
実際はレガシーのメタゲームは極めて予測が難しいってだけの話だ。特に今はね。
レガシーのような広大なカードプールがあると、フォーマットにあり得るデッキの数というのは青天井だ。まずこのことが、メタを予測し、読み、理解する妨げになる。そのうえいつも、カナスレやマーベリックのようなトップに位置するデッキを選ぶ人の数は少なく、次に一握りのかなり良いTier 2デッキたちが続き、その次には他のありとあらゆるデッキが続く(ふつうこれは、見たこともないローグたちにより生じるランダム性、などと言われる)。
これは単に全体を動かしているシステムに過ぎず、僕らはこのシステムの中でメタと、Tierがどのように構成されるかを考えることができる。
もちろん、まったく思いもつかないローグデッキにあたって0-2することまで想像したりはしないけど、レガシーではデッキの種類が広くバラついていて、メタを把握して予測するときにこのバラつきを考慮しなきゃいけないのはたしかだ。
それでもこのバラつきを超えた向こう側、トップグループのデッキに絞りこめば考えるのは比較的簡単になる。
しかし今のレガシーではこのシステムに問題がある。Tierの上の方が曇り、混乱していて見通せないんだ。
結局、メタを考えるのは簡単じゃなさそうだね。
ポイントはTier 2にある。Tier 2は力のある無数のデッキたちが身を乗り出し、スポットライトを浴びるのを待っている回転ドアみたいだ。いまTier 2にいるデッキの数はすごく多くて、正確にメタを予測したり、あるイベント向けに完璧に対策したデッキを用意するのはほとんど不可能に近い。
これが理由で、最近のいくつかのレガシーイベント(GPアトランタ、SCGセントルイス、GPヘント、SCGラスベガス)はそれぞれまったく異なるものになり、このフォーマットはほぼなんでもありのようになっている。戦えるデッキが豊富にあるモダンのメタゲームみたいな気がするね。
これは悪いことじゃないし、それどころか素晴らしいことで、レガシーのようなフォーマットにとってかつてなかった領域だ。レガシーが創設されて以来、こんなにオープンな状況は見たことがないよ!
歴史的に、どの時期を見ても3つか4つの頭ひとつ抜けたデッキがあった。でも今は、数十個のデッキのうち一つを選び、トーナメントで活躍することができると思う。
上で挙げた4つのトーナメントのトップ8を見てみよう:
GPアトランタ:
2 Canadian Threshold
Esper Stone-Blade
UW Delver Stone-Blade
Maverick
Goblins
Belcher
Zombies
SCGセントルイス:
Esper Stone-Blade
Belcher
Merfolk
BUG/Team America (no Delvers)
BW Stone-Blade
Elves
TES
UW Miracles
GPヘント:
ANT
Elves
Show and Tell
Esper Stone-Blade
Maverick
Junk
UW Miracles
UW Landstill Miracles
SCGラスベガス:
2 Esper Stone-Blade
2 Dredge
Goblins
Canadian Threshold
Belcher
Maverick
(石鍛冶デッキのバリエーションを分けるかまとめるかといった)アーキタイプ定義の曖昧さがなければ、それぞれのトーナメントのトップ8には少なくとも6種類(!)のデッキがあり、全体では16~18というとんでもない数になる。
18!これは尋常じゃない数字だよ!なによりめちゃくちゃなのは、この数字がレガシーで戦えるデッキ全体を表しているわけじゃないことだ。なかでもリアニ、スニーク、青赤デルバーがトップ8に入っていないのは目立つね。
これはTierの上の方に浮上しているデッキの多さを証明しているし、この環境で考えられるあらゆる角度からの攻撃に現実的に対処するのがいかに難しいかを示している。
1つのトーナメントのトップ8に6種類のデッキが入ることはないわけじゃないけど、4つの連続したトーナメントでそれが起きるというのは驚くべきことだ。
たしかに、どれかのデッキが頭角をあらわして成功を続けたり、何か別の変化があったりするのが常で、今のような状態は長く続くものじゃない。それでも今のレガシーの状況は、このフォーマットの行く先について、僕らにいくつかの結論と問いを与えてくれる。
グリセル様?むしろグリセル坊やだ!
GPアトランタの話をすると、リアニとスニークはどちらも崇拝されていたデッキで、明らかにレガシーの最有力候補だった。
どちらもグランプリの前に行われたトーナメントでは素晴らしい結果を残していたし、グリセルの首めがけて熊手で突進する村人たちが大勢いた。幸い、彼らの嘆きは6月の禁止改訂に聞き入れられることはなく、グリセルは大惨事を起こし続けることを許された。
かと思いきや、成功と人気によりグリセルは吊るし上げられ、対策が彼を地上に引きずり下ろし、上に挙げた4つのトップ8にはたった1枚も入ることはなかった。
GPアトランタのトップ8のすぐ下に複数のリアニがいるように、グリセルデッキは完全に力を失ったわけじゃない。だけどこのことは、メタへのシンプルな適応によってグリセルデッキがトップ8から押し出されたことをはっきり示している。素晴らしい!レガシープレイヤーたちは適応能力を持ってるんだ!
それでもやっぱり次の禁止改訂ではあの嘆きを思い出すのかな?このデッキを抑えるにはちょっとしたメタへの適応で十分だ。熊手は納屋にしまっておいて、時期尚早な禁止暴動は最小限にとどめよう。
とはいえ、リアニとスニークが本来持っている力を疑うのはよそう。どちらのデッキも本当に強く、環境に溢れた対策がこれらのデッキをシングルエリミから押し出し、Tier 1から押し出しているだけだ。
さっきも言ったようにレガシーのTier 2はデッキの回転ドアで、ニッチな競争相手だったデッキがベストデッキの座に飛び上がるのは時間の問題なんだ。対策が下火になればリアニやスニークは簡単にトップに返り咲くよ。
部族の復活
Cavern of Soulsがスポイルされたとき、これで部族が勢いづくだろうと思った。はじめは徐々にだったけど、今や部族デッキは完全にレガシーで独り立ちし、復活したように見える。
Cavern of Souls以前、部族デッキには何か足りないように見えたし、基本的にはまぐれでトップ8に名を連ねるだけだった。洞窟という輝かしい増援のおかげで部族は最悪のマッチアップの一つをひっくり返し、近頃では一大勢力だ。
エルフ、ゴブリン、そして(もう一つの新たな玩具、Master of the Pearl Tridentを得た)マーフォークはどれもレガシーで理に適った戦略で、今のオープンな状況が続く限り、少なくとももうしばらくは存在し続けるだろうね。
レガシーに明確なTierの構造はあるのか?(そして果たしてそれは必要か?)
この二ヶ月間、カナスレ、マーベリック、リアニ、そしてエスパー石鍛冶は、「その他大勢」を裏返したものを僕らがTier 1だと考えていることを教えてくれた。
だけど最近の結果を見たとき、Tier 1とTier 2を成功の度合いによってはっきりと分けることができるかな?こう考えてみよう:
上に挙げたTier 1デッキはトップ8スロットの10/32=31%を占めている。
同様に、Tier 2デッキはトップ8スロットの69%を占めている。
これを見ると疑問が出てくる。Tier 1と2を分ける点というのはあるんだろうか?
例えばベルチャーは4つのトーナメントでトップ8に3回入っていて、これはマーベリックの回数と同じで、カナスレより1回少ないだけだ。これはベルチャーがTier 1だということを意味しているのかな?もしあなたがレガシー好きの集団に聞き取り調査をしたとしたら、答えはたぶんノーだろう。
だけどこれは何かヘンだ。ベルチャーは青いデッキの海の中で複数回のトップ8入りを誇る、力のあるデッキなのは間違いない。どうして僕らは、同じぐらいトーナメントを勝つ力を示したデッキを別々の分類に分けてしまうのだろう?
正直言うと、僕は現時点では特に違いはないんじゃないかと思ってる。トップ8入りしている各デッキはどれもトーナメントでしっかり活躍できて、カナスレやエルフ、ベルチャー、テンドリル等のようなデッキの間に大きなギャップはない。
もちろんメタのシフトによっていくつかのデッキはつらくなるかもしれないけど、レガシーは愉快なフォーマットだ。今週強かったデッキがあっさりと次の週に勝てなくなり、ただドアが回転するだけで、二ヶ月もすればTier 1デッキになったりする。これは、デッキが決して絶滅しないレガシーの、あるいはエターナル一般の本来の姿だ。
ポイントは、あらゆる意味で僕らはTier 1と2をミキサーに投げ入れて、そのぐちゃぐちゃなものをトーナメントに持っていった方が良さそうってことだ。それが素晴らしいチョイスになる可能性は高い。
予測不能なメタを予測する(もしくは、しない)
4つのトップ8にはあらゆるアーキタイプが(プリズンはさすがにひどいので除いて)何らかの形で含まれていて、つまりどんなアーキタイプにもチャンスがあるってことだ。アグロ、コントロール、コンボ、これら2つの組み合わせ、本当にそのどれでもいい。これはもうグーチョキパーのじゃんけん関係をとっくに超えて、グーチョキパーとかげスポックじゃんけんすら超えてる!
レガシーはこれらアーキタイプが均衡する未知の状態に達していて、メタの移り変わりや、メタそれ自体すら捉えるのがものすごく難しい。
メタゲームは本当に数十ものデッキの手に委ねられているのだろうか?可能性のあるデッキを一つ一つ全てリストアップすればメタを量れるのだろうか?もしそうした場合、それはもはやメタと呼べるんだろうか、あるいはただのレガシーデッキの集まりなんだろうか?
言いたいのは、このように色々なデッキがバランスしている中で、合理的な予想のもとに自信を持ってトーナメントを渡り歩くことはできないってことなんだ。青いデッキと当たることを想像しながら、一日中マーベリックや部族、コンボと立て続けに6回戦やるかもしれないし、その逆もあり得る。
今はピンポイントに対策を立てることはできないし、ひいては現実のメタゲームや次のトレンドの移り変わりをピンポイントに予想することなんてできやしない。力を持っている特定のデッキやアーキタイプを倒そうとギアを入れたとしても、その相手に当たる保証はなくて、そういう努力をするのは疑問だね。
白眉のデッキを選んで、何に出会うか予想しながらトーナメントを歩いていけるスタンダードとは違い、レガシーイベントはかなり当てずっぽうでやることになる。毎ラウンド何に当たるか分からない。
だけどそれにもかかわらず、僕は傾向が見られるだろうと思ってる。少し時間はかかるかもしれないけど、密集した数十のデッキたちの中で何かが変化するだろう。これは大胆な予想かもしれないけれど、それでも予想がここにある:
1. 以上のような背景のもと、今のメタではより素直なデッキ構築が行われるはずだ。たくさんのデッキが息をしている状況ではあらゆる相手を倒せるようなデッキを作りたくなる。そうすると、対策カードは特定の相手にキツく刺さるものよりも、多くの状況で役に立つものが好まれるだろう。
2. 尖った対策カードが減って丸いものになると、コンボデッキが成功するチャンスが増す。コンボデッキ自体ではなく部屋にいる相手みんなを倒すことに力を注ぐと、コンボがうまいことやる道が舗装されることになる。
3. コンボデッキが強くなると、フェアなゲームをするデッキは弱くなる。このことは部族戦略を減少させ、マーベリックはぎりぎりだけど残るだろう。
4. コンボデッキが強くなると、青いデッキが強くなる。そして新たなサイクルが生まれる。
メタのシフトのショートバージョンはこうなる:
今のメタ→丸いデッキ構築→コンボが脅威となる→真面目な青いデッキがトップに戻る
さっきも言ったようにこれは単なる予想にすぎないけれど、メタの裏をかいて先頭に立とうとするプレイヤーたちがいる限り、デッキ構築には傾向が見られるだろうね。
最終結論:予測不能なレガシーは健全なレガシーだ
上で述べたように、レガシーはいろんなアーキタイプが均衡した状態になっている。このバランスがレガシーに多様性を持たせ、活気を与えている。そして多様性はレガシーが健全な印だ!
今ほど健全な期間はレガシーにはほとんどなくて、さっき言ったようにここまで健全なのを見たのは初めてだよ。
いつものように青いデッキたちはグッドだ。これからも何があっても良いだろうね。でも僕らには、マーベリックやエルフ、ゴブリンのように青いデッキと対等に戦えるフェアなデッキがたくさんある。
ANTがGPヘントで活躍したように今はコンボも存在感があり、ドレッジとベルチャーは安定してトップ8に居座り、ショーテルとリアニはいつも再び爆発するんじゃないかと不気味だ。
コントロールだって良いよ!青白奇跡はソリッドで、壊れたデッキたちに対抗することで他のフェアなデッキを自然と盛り立ててもいる。
レガシーの今のバランスは、楽しくて、エキサイティングで、挑戦しがいのあるフォーマットを提供してくれていて、素晴らしいものだと思う。
僕らはこれを楽しみ、オープンな状況を活用した方が良いだろうね。レガシーが「怒った大型犬 vs. 大型犬 vs. 足は悪いが心はタフな中型犬」の構図に戻ってしまう前に。
読んでくれてありがとう!
Colin
コメント
いつも読ませて頂いているのですが、どのようなルートでこれらの記事を見つけているのですか?
レガシーは本当に魅力あるフォーマットですね!
過去分も含めゆっくり読ませて頂きたいのでリンクさせて頂きます。
コメントありがとうございます!
有名サイトはRSSリーダーに登録してざーっと目を通してます。それと、このDNを始めてからThe sourceのarticleフォーラムをときどき見に行くようになって、今回の記事(とTCGplayer)はそこで知りました。
> よーすけさん
ありがとうございます。
最近は特に大会結果を見るのが楽しみでしょうがないです。これからどうなっていくのでしょうね。
> Kzさん
はじめまして、リンクありがとうございます。
長い記事ばかりですので、どうぞごゆっくり。
こちらからもリンクさせていただきました。
リンクさせて頂きました。
コメントありがとうございます。のんびりやっていこうと思ってますのでよろしくお願いします。
相互させていただきました。
とても参考になります!
参考になったようでなによりです。
こちらからもリンクさせていただきました。
毎回興味深く拝見させて頂いてます。
リンクさせて頂きました。
ヨロシクです。
リンクさせていただきました。よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
ちょっと弾切れ気味でペースが落ちるかもしれませんが、ぼちぼちやっていきますのでこれからも楽しんでいただければ嬉しいです。
こちらからもリンクさせていただきました。よろしくお願いします。